一般社団法人予防医療普及協会の事務局を務められ、2021年5月公開の映画「糖尿病の不都合な真実」製作委員会をリードされた塩見耕平さん。
個人の状態に合わせた疾病予防を提案し、実践をサポートする株式会社Exultの代表取締役という起業家としての一面もお持ちです。
その塩見さんに、予防医療に取り組み始めたきっかけや原動力などを伺いました。
ご経歴を簡単にお教えください
理学療法士として、大学病院や民間病院で十数年勤務してきました。
研究者としては、社会医学系の博士課程を修了。現在は腎臓内科学の研究室に所属しています。
今は臨床現場を離れていますが、病院で勤務していた頃は、糖尿病の合併症を発症し、人工透析が必要になられた患者さんや、足を切断された患者さんたちを診させていただきました。
そこで接した患者さんの中には、ご自身の過去を振り返り、後悔されていらっしゃる方がたくさんいました。
そうした方々を見てきて、腹立たしくなってきたんです。
こんなにエビデンスがあり、改善の方法もたくさんあるのに、自分が接している患者さんたちの症状は巻き戻せない。重症化している患者さんに対する医療には限界がある。
予防できる段階から関わられていたら、患者さんの未来も変わっていたはずーーーなのになぜこうなってしまったのか。
そんな憤りが原動力となり、会社を起業しました。
起業された会社について教えてください
株式会社Exult(イグザルト)という会社で、一言でいうと「データに基づくトレーニングにより病気になるリスクを減らすお手伝いをする施設」です。
"科学的アプローチにより健康状態把握と疾病予防を実現"することをコンセプトとしています。大規模医療機関や研究機関と同等の医療機器を使い、お客様の健康状態を数値により視える化し、パーソナライズされたトレーニングや食事指導を行うことで疾病予防の実現を目指しています。
起業されてからの感触はいかがですか?
予防医療は普及が難しいと感じています。
エビデンスがあるので、正しいことを伝えれば救える人はいるはず、と考えていましたが、世の中のニーズとのギャップはまだある印象です。
研究者はエビデンスを突きつけがちです。でもマーケットは必ずしもそれを求めていない。
世の中のちょっと先で困っていることを解決することが重要だと感じています。
自分が叶えたい未来のちょっと相手寄りのところをかたちにできるよう心掛けています。
映画「糖尿病の不都合な真実」製作や予防医療普及協会でのご活動についても教えてください
糖尿病映画の製作は堀江さんが発案者になっています。話を聞き、想いが一致することからリーダーとしてコミットすることにしました。
映画は自覚症状がなく進んでいく糖尿病の恐ろしさを伝える恐怖映画です。
サイレントキラーとも呼ばれる糖尿病が、知らないうちに体を蝕む危険があること、それが人生に関わる重大なことだという認識を広める方が、もしかすると治療よりも効果は大きいかもしれません。
映画は5月1日に晴れて公開となりました。クラウドファンディングで有志から資金を募り実現しており、無料でどなたでもご覧いただくことができます。(映画はこちら)
予防医療普及協会では、アカデミックな視点だけでなく、世の中で活用できるようなかたちで予防医療を取り入れていけるような活動を行なっています。予防医療の社会実装を目指す自分にとっても、協会の活動とリンクするところがありました。
また、オンラインサロンのYOBO-LABOには、想いが強くて、高い知見をお持ちの方がたくさんいらっしゃいます。それぞれの強みをマッチさせていければ、世の中に本当にインパクトのあることができると確信しています。
塩見さん、ありがとうございました!
塩見さんが、予防医療に取り組むに至るまでのストーリーを、漫画家のクニさんがマンガにされています。合わせてぜひご覧ください!
漫画はTwitterでも公開されています↓ ※全5編。続きはnote(↑)かTwitterでどうぞ!
<ご参考>
*株式会社Exult
*映画「糖尿病の不都合な真実」特設ページ